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老眼初心者による本や映画の話

あまり読まない本とあまり見ない映画の話

本『被差別の食卓』

今年はこのブログをきちんと更新していきたいと思っています。

      ◎

「お好み焼きは広島県民のソウルフードだ」みたいな言い方をよく聞きますが、もともとソウルフードとはアメリカのアフリカ系アメリカ人の食文化なのです。ソウルミュージックと同じですね。フライドチキンやキャットフィッシュ(なまず)が黒人たちのソウルフードでした。

上原善広『被差別の食卓』(新潮新書)を読みました。著者は、差別されてきた人たちの食事をさぐるために世界を旅します。本来の意味でのソウルフードを訪ねるのです。アメリカとブラジルの黒人奴隷に端を発する料理、ブルガリアとイラクのロマ(いわゆるジプシー)の食事、ネパールの不可触民の食事……。最終章は、著者が生まれ育ったむら(=日本の被差別部落)の食事が取り上げられます。彼らはみな、差別する側が食べないものを揚げたり干したりして工夫し、独自の食文化をつちかってきたのです。

日本でも、食肉・皮革に従事する人が差別された歴史があります。同様に、ネパールでは、牛の解体をおこなう人々は穢れていると差別されています。《この"浄・穢"の考え方は中国、朝鮮を経由して日本にも伝播し、被差別部落を形成する思想の元になったと考えられている》というのは初めて知りました。

著者は何らかの主張を声高に叫ぶわけではありません。非常にフラットな視点で、ただ単にスケッチしたような書き方がとても良かった。この著者の本は、引き続き読んでいきます。

被差別の食卓 (新潮新書)

被差別の食卓 (新潮新書)