2001年、担当させていただいていた鮎川哲也先生の本を5冊復刻し、カバーデザインをしました。すでに自分の担当した文庫を何冊かデザインしていました。鎌倉の鮎川先生のお宅に行ったさい、「私にデザインさせてください」とお願いすると、「ほお」と驚きつつも承諾してくださいました。
当時、文庫編集部では特色や特殊加工をした本を何冊も出していましたが、この本は通常の4色印刷でやることに決め、いろいろ考えた末、同系色のパターンを作ることにしました。本シリーズでは、幻想的な武田さんのエッチングをお借りしています。帯はメタルカラーふくめ2色の特色。表4(裏表紙)に入れるあらすじや著者略歴のパターンも私が勝手に作り替えていて、わがままし放題です。
先生の本は市場から払底していて、角川文庫はそれなりに値が張っていたんです。みんな復刻を待っていたらしく、売れ行き好調で安心しました。